2011年12月17日

彼女の殺人

私は。。。と、彼女は言った。

「私は、今まで何人も殺して来たわ。」

彼女があまりにも唐突にそう言ったので、僕は何のことだか分からずに、
しばらくの間、サラダを食べるフォークを宙に浮かせたまま彼女を見つめた。

彼女はとても不思議な表情をしていた。
泣いているのか、笑っているのか、怒っているのか分からない、
ほんとうに不思議な表情だった。

ただ、彼女の中で彼女自身にも押さえきれない何かが、
次第に大きく膨らんでいくのが僕にも分かった。

まるでパンドラの箱を開けてしまったような戸惑いと不安。


「私はほんとうに殺してきたの。。。
どう言ったらあなたに分かってもらえるのかよくわからないけど、
私はときどき私自身が何人も存在するんじゃないかと思うことがあるのよ。
最初はただの錯覚だと思った。ただ疲れているだけだと。
ところがそうじゃなかった。錯覚なんかじゃなかったのよ。

満員電車に乗っていて何気なく外を見ていたら、
ホームに私が立っていたり、
テレビに映し出された街の雑踏の中に私が歩いていたり、
お化粧をしていて、鏡に写ったのが別の私だったりするの。」


僕はフォークを置いて、ビールを一口飲んだ。

「自分自身に会うっていうのは、どんな気がするものなの?」

僕は言った。

「私は何人もの私を見て、かなりショックを受けたわ。
私が何人も同時にこの世に存在するなんて、信じられないことだもの。」

彼女は溜息をつき窓の外を眺めた。
「何人もの私自身は、私が一旦その存在を知ってしまって、
それに注意しだすようになると、頻繁に私の前に姿を現すようになったわ。
彼女らはちゃんと挨拶するし、食事もするし、眠るの。
彼女らは全く自然なのよ。周囲の人も彼女らを見ても、全く気にも留めないわ。
彼女らはほとんど完全なのだから・・・

でも私は思うようになったわ、自分自身が何人もこの世にいて良い訳がないって。
この世の中には私は一人で充分なんだって。
それで私は彼女らを殺す決心をしたの。」

「でも一度決心をしてしまうと、それはそんなに難しいことではなかったのよ。
彼女らを殺すには、ナイフも、ピストルも、毒薬もいらなかったから。
私は彼女らのために簡単なお葬式を済ませるだけで良かったの。」

「それで、この世の中には正真正銘の君自身だけが存在することになったんだね。」

「そう」

と彼女は答えた。

「私の言っていること、分かってもらえてたかしら?」

「なんとなくね。」

と僕は言った。

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僕は彼女が帰ったあとも一人で店に残っていた。
そしてビールを飲みながら、彼女はもう二度と僕の所には戻ってこないかも知れないと思った。

彼女はたぶん、僕と一緒に生活をしセックスをする、
もう一人の彼女に出会ってしまったのだ。
そう、今頃彼女は、僕の知っている彼女のお葬式を済ませているのかも知れない。

そう考えると、僕はひどく淋しく憂鬱な気持ちになった。

posted by ピコティ at 23:00| 東京 ☀| Comment(0) | STORY | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月15日

冬のバラ!

ようやく季節に追いついたような寒さですが、
12月も中旬になって、ようやくイチョウの葉っぱが金色になる感じです。

季節のうつろいは遅くなり、紅葉の残る街路樹に、
クリスマス・イルミネーションは少し不釣合いな気もしますね。

そんなこんなで、冬のバラです。

ブルームーンの薄紫がいい感じでしょ!

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アプリコットピンクと淡いパープル


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バラにはそもそも青い色素がないので、このパープルは引き算の結果です。

花から色素を抜いていき、紫に見えるように色素を残して誕生したのが紫のバラです。


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寒い季節ですが、バラの色彩と香りが、気持ちを暖めてくれますね。






posted by ピコティ at 23:00| 東京 ☀| Comment(6) | ガーデニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月14日

ロブションのシュトーレン!

ジュエル・ロブションのシュトーレンをいただきました。

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シュトーレンとは、もともとはドイツ、ザクセン州のドレスデン市で、
クリスマスシーズンに焼かれる郷土菓子でした。

幼いイエスがブランケットに包まれている姿に見立てているそうです。

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なので、白い粉砂糖に包まれています。

クリスマスシーズンが訪れると夕食後のひとときに、
1cm幅に切り分けたシュトーレンを毎日一切れずつ食べて、
クリスマス迄に食べきるそうです。

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切ってみると中には、レーズン、アーモンド、イチジク、クランベリー、ピスタチオなどなど、
フルーツとナッツが沢山入っていますよ。
とても贅沢なお菓子です。

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洋酒がかなり効いているほか、独特の香りがあります。

解説によれば、この風味は時間の経過とともにだんだんと増していくらしく、
クリスマスに向かって、だんだん美味しくなってくようです。

なんだか素敵なお菓子ですね。

紅茶やブランデーなどと、一緒に召し上がれ!






posted by ピコティ at 23:00| 東京 ☁| Comment(4) | 美味しいもの | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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